 最初に |
What is Success? |
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私はいわゆる成功した人間ではないし、成功とは程遠い人間である。従って成功について人に説く資格はない。こういう文章を書くことにはためらいを感ずる。しかし成功を目指している人には「こういうことを考えている人は成功しないんだ」という反面教師の役割を演ずることもできるし、ひょっとしてこれから何かに一生を賭けようとしている(これは営利事業とは限らない、つまり生きていてよかったと思えるような自分自身の事業)ことを見出すためのヒントとしてあるいは参考になるかもしれないと思い、ペン(キーボード)を取ってみた。 |
税理士は人が成功するのを支援することを使命とする商売だ。少なくとも私にとってはそうである。「私の専門は税務と会計だからそれ以外は誰か別の人に頼んで下さい」というわけには行かない。受験時代に全く知らなかった事柄を、顧問先さんからの要望で実際に仕事をやるようになってから習得し、何とか期待に応えられるようになったという経験もある。つまり、相手が何をしてもらいたいか、そういう相手の立場に身を置くということが成功の第一歩であることをここでは言うにとどめたい。 |
成功にはまだ程遠い(または成功途上にある)私も、顧問先さんとの付き合いを通じ、成功する人はどういう人なのか、どうすれば成功できるのかを長年考え続けてきた。またどういう人は失敗してしまうのかを見続けてきた。お金をいただいておいて不謹慎だが、再起していただくためにもご参考にしていただきたい。 |
いわゆる成功本が売れている。「××と××の法則」「金持ち父さん・・・」「儲かる絶対法則」「××からの成功法則」「できる人の××つの習慣」など。昔は和製根性物の精神論であったが、今はアメリカ発の舶来の精神論のオン・パレードである。ITベンチャーの先輩格であるシリコンバレーの企業家が持ち込んだものだが、折りしも日本では、終身雇用や年功序列の崩壊で若者が人生の指針として求めているという事情もある。適当な会社を見つけて入っても苛烈な「『成果』主義」が待ち受けている。また、大学を出ても自分が何をやりたいかわからず、就職活動自体をしないという自発的失業が増えているという背景もある。70年代の「モラトリアム症候群」とは似て非なるものだ。これらの出版物を冷ややかに眺めている向きもないではない。彼らは「労せずして成功する」道が存在すると考えている。もし彼らが本当にそう考えているとすれば、既に入口で成功への扉を自ら閉ざしているとしか言いようがない。 |
成功者とは主観で判断すべきか、それとも周りの人が決めるかは意見の分かれる所だ。また物質的成功が幸福なのかどうかは、一概に言えることではない、と言うより全く違う。確実に言えることは、成功者になりたくない人間はいないということ、また客観的に彼らの人数は全人口の数パーセント位に過ぎないということだろう。だから成功とは、少数派だけが成就させることができるものである。従って成功は「自然の法則」に反する、と言える。「自然の法則」とは、「誰もしたくないことはしたがらない」ということだ。成功者はその法則に反して、他人がしたがらないことを苦もなくできるということだ(私にとっては苦そのものである)。ここに成功論のエッセンスがある。 |
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平成16年7月24日
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